読んだ本
- 恩田陸『なんとかしなくちゃ。 青雲編』
- 佐藤究『爆発物処理班の遭遇したスピン』
- 藍銅ツバメ『鯉姫婚姻譚』
- エリザベス・ボウエン『ボウエン幻想短篇集』
- 中村圭志『宗教図像学入門』
- 柏木麻里『もっと知りたいやきもの』
- 宇野碧『レペゼン母』
- 原田マハ・高橋瑞木『現代アートをたのしむ』
- 吉岡乾『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』
- 中島聡『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』
- アネ・カトリーネ・ボーマン『余生と厭世』
- 佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』
『なんとかしなくちゃ』:面白かった。恩田陸の作品、傍から見るとちょっと変わっているけど筋は通っているキャラクターがたまに出てくる(『ドミノ』の田上優子とか『錆びた太陽』の財護徳子とか)。とはいえそういうタイプの人物が主人公になって、人格形成の様子が語られていくのは珍しい気がする。地の文のクセの強さや、一代記の序盤で一区切りがつけられているあたり、酒見賢一リスペクトを感じる。
『爆発物処理班の遭遇したスピン』:SF短編集だと思ったら重めのSFホラーだった。
『鯉姫婚姻譚』:孫一郎によって語られる御伽噺が不穏な空気を漂わせつつも、孫一郎とおたつのキャラクター性のおかげか、終始平和で穏やかな雰囲気。自宅の庭に人魚が住んでいてほしい人生であった。
『ボウエン幻想短篇集』:今月は期せずして怪異風味の本ばかりになっていた……。本作はゴーストストーリー多めという触書ではあったが、実際のところ幽霊が源泉の恐怖より、人生におけるささやかな恐怖が描かれている感じ。
『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』:不満や悩みを抱えつつも研究生活を続けられる動機の強さが羨ましい.
『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』:面白いとは思ったが,そもそもそこまでギチギチに時間を詰め込んでまで仕事するくらいならさっさと死んだ方がマシでは……?
『余生と厭世』:定年間際くらいになったら仕事や人生への向き合い方もまた変わってくるのかもしれない.そんなに長生きはしたくないが.
『喜べ、幸いなる魂よ』:やはり出家が人生のすべてを解決する.